2014年09月12日

UG|Step4 苦情発生のメカニズムを断ち切る(三)

 話を現代に戻しましょう。どうやら、この「基礎知識」の項で皆さんにお伝えしたかった事柄の一つが見えて来た様です。賢明なホテルマンの方々に念を押すまでもなく、苦情発生のメカニズムを断ち切る為には厳しい自己診断から始めなくてはなりません。あなたは所属する部署のミーティングで積極的な発言をなされていますか。いえ、ミーティングそのものが形骸化していて、書面の回覧で済ませるべき内容を延々と口述していたり、あるいは特定の人物だけがいつも決まって時間の大半を独占してしまう、そんな残念なミーティングに首を項垂れているだけかも知れませんね。
 何かの問題が運営上に存在する事を所属スタッフの全員が共有していて、いざ改善の為の検討会が時間を割いて開かれたとします。膨大なデータに基づく客観的な報告が行われ、事前にテーマが示されていた事もあって、参加したメンバーからは予想以上の前向きな提案が出されたとしましょう。もしかしたら白熱した議論に誰もが身を乗り出して、あなたご自身も夢中で持論を展開なされて行くかも知れません。しかし、その先に待ち受けているのが、現実的な仕組みの中での困難です。恐らくは皆さんが真に必要だと行き着く改善案こそが、今日までそれなりに運営されて来たホテルの「出来上がってしまった仕組み」と正面から対立する事になる筈だからです。それは限られた経費の予算による障害なのかも知れません。関連する他の部署の理解や上司の支持が得られなかったり、スタッフへの新たな負担やリスクが生じる為の障害なのかも知れません。もしかしたら本部の思惑やホテルオーナーの意向にそぐわないと言う理由だけで、まともに改善案の中身が吟味される事も無く一蹴されて行く運命なのかも知れませんね。あなたや議論に参加されたメンバーの気持ちは萎えてしまい、焦燥感の漂う現場の士気は低下して行くに違いないのです。歴史ある大型ホテルであれば尚の事、強大なセクショナリズムの山を動かすのは並大抵の事ではありません。結局のところは、今まで通りの方法を踏襲する以外にないのだと諦めてしまうのではないでしょうか。
 しかし、その時こそが「苦情発生のメカ二ズムを断ち切る」為の、本当の意味での分岐点なのです。100かゼロかの提案をしてはいけません。皆さんの導き出した改善案が非常に卓越した内容のものであったとしても、交渉をして物事を進める際には相手の考えを受け入れる余地を充分に残しておくべきなのです。最終的な目標を達成するまでには、まず第一歩を踏み出す事が肝要なのだと理解して下さい。つまりは行き詰った段階を予め想定して、「次善の策」「三善の策」まで用意しておく必要があると言う事です。
 この地道な成功体験の積み重ねが根底になければ、もう誰も徒労に終わるであろう現場の改善発議は行わなくなってしまいます。当初に抱いていた理想を目指す意欲は薄れて行き、もはやミーティングに参加すること自体が時間の無駄と感じ始めるかも知れません。何をおいてもまず第一に自己診断されるべきなのは、そんなあなたご自身が見失いかけているモチベーションなのではないでしょうか。
 これから先、ホテルのマニュアルにはない皆さんの基礎知識を更に深めて頂くつもりです。無論の事、このブログの内容に関するオブジェクションが多々ある事も当然でしょう。でも、どうか職場の皆さんとも議論を始めてみて下さい。これも使い古された言葉ではありますが、「りんごは交換しても互いの手にある数は変わらないが、情報の交換は互いの知識や物の見方を倍にしてくれる。」と思います。自らの中に確固たる信念を築く事が、後にこのブログと共に立ち向かう本当のUGを退ける一本道であると私は確信しています。


ラベル:基礎知識
posted by 幻のホテルマン at 14:06| Comment(0) | TrackBack(0) | スタッフ編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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